若き日の旅なくして、老いての物語なし

若き日の旅なくして、老いての物語なし

 旅が大好きです。

 見知らぬ街を訪ね、初めての人に会い、見たことのない風景の中に身を置くときに、自分の心と体を渡って行く風に吹かれる気分、これには言葉にできないほどの感動があります。

 ただ不思議なのは、遠いところに行けばいいのか、というと、実はそうでもないのです。若い頃は、とにかく遠くへと出かけたこともありましたが、いろいろなところを訪れ、様々なところで暮らしたりするうちに、徐々に気持ちが変化してきました。

 どこでもいいのです。心と体に風が吹くことが重要なのです。

 都会の雑踏を歩いているときに、水の存在を忘れさせるほどの透明度の高い海に潜っているときに、迷路のように入り組んだ路地の石畳の上で、20年来の友人と再会して一杯飲っているときに、気持ちよさそうに熟睡している子どもの顔を眺めたときに、驟雨に駆け込んだ軒先で雨の匂いを嗅いだときに、その他場所と時を選ばずに、不意にこの風が吹くことがあります。

 であるならば、私にとっての旅とは何なのか。

 それは自分自身がああ生きているんだなあと感じる、“心の状態”そのものでしょうか。

 などと書いていると、また旅の虫が騒ぎ出します。

 さあ頑張って仕事して、休みを取って出かけよう!



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